愛について語ろうということですが、結論から言うとよくわかりません。


真理と同じようなもので、自分がそうだと思えばそれでいいのかも知れないのですが、どうして夫婦間でこれほど愛情に対してのギャップが起きているのかを少し考えてみたいと思います。


先日の不道徳教育講座を読んで以来、三島由紀夫が妙に気になりだして新恋愛講座という本を購入しました。


まだ読み出してから10ページにも満たないのですが、恋愛を語る上で3つのパターンをあげています。


恋愛というものは動物のように男と女が本能的に引き合うというものではなく、歴史・社会・環境などの制約の上でなりたっているものであるとして、ひとつの恋愛には全人類の歴史や文化などが反映しているのだと述べられています。


その上で恋愛を考えるためにギリシャの恋愛、キリスト教の恋愛、そして日本の恋愛の3つを考えることで、恋愛を語ろうとしています。


古代ギリシャにおいて男女間のかかわりは生殖行為以外のなにものでもなく、恋愛について語るとすればそれは男性が美少年に対する同性愛のことをいうそうです。


キリスト教では、肉欲そのものを排除して精神的なものに対してのみに存在価値があって、恋人だけではなく憎むべき隣人に対しても愛をもってせっするという動物的な欲望を全て捨て去ったときに初めて確立できることであると教えられています。


そのキリスト教が根底にある欧米に対して風俗利用を促した橋下さんはあまりにも無謀だったのではないでしょうか。


最後に日本の恋愛事情についてですが、もともとギリシャやキリスト教のような哲学的なものはまったくなかったというのが、著者の考えです。


万葉集を調べてみても単に感情を表現しているだけで、別れの寂しさや恋人に久しぶりに会った喜びなどといった本能的な欲求が素朴で、正直に語られています。


その後、平安時代から戦国にかけて素朴な恋愛物語は女性特有のものとなり、男性に対しては武士道というものが主流となったそうです。


そこには女性についての記述は一切ありません。男性の重んじるものは政治・軍事・道徳のみとされていったのです。


現代の日本では、その武士道が根強く反映されているせいで、夫婦関係がうまくいっていないということを言いたい訳ではありませんが、その影響がまったくないと断言できないことも事実だと思います。


しかしフェミニズムなどの影響で女性の立場をしっかりと確立させていこうという風潮の中では武士道などを訴えたところでまったく意味のないものとなることでしょう。


今、僕に依頼されている女性はほぼ同年代であり、ご主人も当然僕と同じような年齢となります。


家は女性が守るべきもので、男は外で戦うという役割がはっきりしていたような最後の年代かも知れません。


幼少時代を高度成長期に過ごしたことにより、働く父親と育児・家事に専念する母親というものが、しっかりと刷り込まれていたように思います。


役割がちゃんと決められた時代には恋愛事情もよかったという訳ではないでしょうけれど、今のようにそれほど複雑ではなかったのではないでしょうか。


夫の浮気で悩む奥さんのなかにも経済的に安定した生活を送らせてもらっているということで、それに対しては目をつぶって、ひとりの男性としてではなく家族愛というもので、自分を維持されている人もいます。


男女間の恋愛に限らず、なんらかの形で愛したり、愛されたりすることは人間にとって、必要不可欠なものなのかも知れません。


具体的に愛するというのはどういうことなのでしょうか。


愛すべき対象に見返りを求めないで奉仕することで喜びを感じることが、愛というものの本質的なことに近いような気がするのですが、自分以外のものに対して愛するためには、まず自分を愛することが必要なんだと思います。


相談される方によく言うのは、自分を好きになってくださいということです。


夫婦関係において、ご主人から女性として扱われなくなったことや更年期などの影響などで女性としての自分を見失ってしまっている人がいらっしゃいます。


自分の評価を自分ですることはがとても難しいために、どうしても身近にいるご主人の評価が全てであると考えてしまうのですが、お会いする女性はホントに魅力的なかたばかりです。


外見がどうだということではなく、それまで何十年も一所懸命に生きてこられたことで積み上げられた、人間的な魅力がどの方からも感じられるのです。


そんな方が目の前で、枯れ枝が今にも折れそうなような状態で悩みを打ち明けられているのです。


赤ちゃんは、親と接しながら自分と他者を徐々に区別していくそうですが、その間に無条件に親から受け入れられているということを実感することで自己愛が形成されるそうです。


たしかに親に養ってもらっていたときには、社会に出てから感じる不安などといった感情はあまり抱かなかったような気がします。


生きている、ただそれだけでいいと思われていることが実感できているときが、愛に満ちている瞬間なのかも知れません。


今から思えば、生きているだけでいいと実感できたのは僕が28歳のときでした。


僕は28歳のときに精神病院に強制的に入れられ、退院してから約2年間の引きこもり生活を送りました。


その時の僕は自分の存在価値がゼロになってしまったと思っていて、いつも死にたいと思っていたのです。そんな過去を持った人間は社会で生きていけないと思っていました。


それでも毎日食事時には仕事で忙しい合間をぬって、部屋の前に母親が食事を置いてくれていました。


とにかく食べて排泄して寝るだけの生活をずっと続けていたのです。


転機が起きたのは、その頃流行っていたNTTの伝言ダイヤルというものを知ったときでした。


今でいうSNSの原型のようなものだったのかも知れません。


自分専用のダイヤルを使って、そこにコミュニティを作り、興味のある人が伝言を残していくといったものです。


リアルな人間とは向き合うことは出来なかったのですが、受話器に向かって言葉を発することは出来ました。


そのうちに自分の作ったコミュニティにも人が集まるようになり、ぼや~っとですが自分の存在意義が少しずつ実感できるようになってきたのです。


それからしばらくして僕の様子が変わってきたことを感じたのか、母親から外で仕事をすることを進められました。


それから20年がたち、今に至ります。


自分を愛すること、好きになることがゼロの状態を経験したからこそ、人に対して自分のことを好きになって欲しいと言えるのかも知れません。


仕事の合間をぬって一日もかかさず食事を用意してくれた母親の行動の原動力は、愛以外のなにものでもないと思います。


パートナーがいろんな苦境になって悩み苦しんでいるときにそういったことが出来る人がどれだけいるのでしょう。


僕は自分の奥さんが悩み苦しみ、それを必死に訴えてきていたのに、自分の都合を優先して無視し続けていたんだと思います。


その結果が離婚となってしまいました。


過去にそれほど無償の愛を受けていたにも関わらず、自分が他人にすることは出来なかったのです。


今から思うとその時もやはり仕事がうまくいかず自分に対して苛立ちを感じていて、自分のことが好きでなかったせいだと思います。


今の僕は誰かに無償の愛を提供しているなどということは、まったく思っていません。


とにかく自分を好きになって、自分が楽しめることだけを追求していきたいと考えています。


自己中だと言われればそうなるのかも知れませんが、自分を愛することが普通に出来るようになると、そのエネルギーは同じような周波数を持つ人たちに自然に伝わっていくのです。


同じエネルギーは共鳴することとなり、さらに増幅されていきます。


奥さんがご主人の愛を確認したいという欲求が起きる原因は、自己愛が不足しているせいではないでしょうか。


不足させる原因を作っている原因の一端はご主人の言動によることも大きいのですが。


気づいていただきたいのは、ご主人からの愛情を受けることが大事ではなく、自分が自分を愛するために必要なことの中にご主人からの愛情も利用するのだというぐらいのスタンスでいることが、楽に生きるための方法だということです。


僕は常に自分の世界の創造主は自分であると言っていますが、自分を愛で満たすことが出来れば周りの世界全てが愛で満たされることになります。


愛を説明することは出来ませんが、愛を与えたり求めたりしたいのであれば、まず自分の中にある愛を入れる袋が満タンなのかどうかを確認することから始めるべきだと思います。


まだ入れる余裕があるのであれば、スポーツや趣味、自治体活動、PTA活動、浮気、風俗、なんでもいいから活用してみるといいと思います。


あなたの世界はパートナーが全てではないはずですし、パートナーもあなたが創造しているからです。


追記


今回、愛について考えてみようと思ったきっかけとなったメールのやり取りを久しぶりにアメブロに投稿しました。お会いしたこともない方からのメールでしたが、僕の中にたくさんの気づきを与えていただきました。


良ければご覧ください。>>サロゲートパートナー「メールは自分へ問いかける手段かも」



12月2日より九州に行きます。詳細はこちら。


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