サロゲートパートナー

夫婦問題や性についての悩みをサロゲートパートナー(代理恋人)が解決いたします。

2014年12月

3日目。

夕方から1時間のコンサルティングと3時間の懇親会をしました。

どちらもマンツーマンです。

北海道のときもそうでしたが、初対面の男性といきなり3時間も何を話すんだろうと自分ながら感心しています。

ということで、この日はこんな朝食からスタートです。

スタンドみたいなところで朝食券を渡すと有無を言わさずお盆にのせてくれました。

サラダもたくさんで、あたたかなシチューがおいしかったのですが、小さな紙コップにはいったリンゴジュースのようなものが、検尿を連想してしまったので、マジックでジュースとか書いておいてくれたらと思います。

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コンサルティングは、1時間です。

午後6時から懇親会があったので、午後4時半にカフェ前で待ち合わせしました。

時間ちょうどに優しさが溢れ出た笑顔の男性が現れました。

40代半ばの独身男性で、清潔感があり、普通にもてるんだろうなという印象でした。

自営業をされているようで、時間は自由になるということでしたが、性感マッサージ師になりたいというよりも、前田貴久とはどんな人間なのかなということに興味をもたれたのかも知れません。

矢継ぎ早の質問に対して返事をしているとあっという間に1時間が経過しました。

本業でも人と接する機会が多く、相手の気持ちを察する能力にたけているようなので、彼のような人がタクティリストとなってくれたらいいなと思いました。

「今日からブログを始めて、あきらめずに楽しみながらコツコツとやってください」

コンサルティングをしたときは、いつもこの言葉で締めくくります。

彼の話で一番おどろいたのは、一度大阪に来たときに谷町9丁目の待ち合わせ場所からいつも利用しているホテルまで歩いてみたということです。

ホテルまでの時間に何を話すのか、いろいろ想像していたのかも知れません。

彼とは店の前で別れ、次の懇親会場を目指しました。

産地直送の材料を使用していることが売りの居酒屋さんです。

写真は陶板焼き用のプレートです。

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開始時刻の10分ほど前に到着し、個室をきょろきょろと見回していると時間ちょうどに男性が現れました。

若く見えたのですが、彼も40代前半で独身だということです。

もともと大阪にいたこともあり、谷町9丁目は馴染みがあるということでした。

数年前から岡山に住みだし、今は常勤の介護の仕事のかたわら、マッサージ業もされているということでした。

「精神的につらい」

乾杯のあとに話をしだすと彼がつぶやくように言いました。

介護の仕事は大変な印象があるので、その大変さに精神状態がまいっているのかなと思って聞いているとまったく予想外の答えが聞けました。

「介護の仕事は強制すること」

自分で排泄できなくなった人のおむつを交換することもそのひとつで、職員にしてみれば相手のためにしていることが、本人の意志に反してでも無理やりすることがあるということだそうです。

本人が希望しないのであればずっと交換しないままにしておけばいい。

などと簡単に片付けられる問題でないことに対して、彼の気持ちが揺れているようでした。

勤め始めたころは、なんと楽な仕事なんだろうとうれしくて仕方がなかったそうですが、数年前から考え方が変わってきたそうです。

僕に限らず誰しも人の世話にならず、なるべく迷惑をかけずに死んでいきたいという気持ちがあると思います。

しかし、今の日本の社会構造では、そういった希望が叶えられることは不可能に近いような気がします。

自分で自分のことが出来なくなって生きているのは、人間とペットぐらいかも知れません。

競走馬は走れなくなったら殺されてしまうのです。(あまり関係ないですが……)

介護社会や介護をされている方を否定しているわけではないということだけは、断っておきます。

出来ればこの彼のように疑問を抱きながら続けているという現状がなくなるようなシステムがあればいいと思います。

そんなことを話していると、彼から自分のことは自分でするということを大切にしている施設があるという話を聞きました。

家に帰ったらその施設の情報を送ってくださいと頼むとすぐに送ってくださいました。


山口県にある介護施設で、生きるためのリハビリをするということがコンセプトのようです。

興味のあるかたは、ご確認ください。 >>夢のみずうみ村

性感マッサージの話よりも生き方についての話をした時間のほうが長かったかも知れません。

どちらかというと僕が興味のあることを聞いていたような気がします。

3時間もどうなることだろうと思っていたら、途中から日本酒を飲むペースが速くなり、気づいたら締めの雑炊だけとなっていました。

ちなみに彼は車で来たということで、一滴もお酒を飲みませんでした。

彼の分まで頑張りました~。

店を出て、握手を交わし、懇親会が無事終了しました。

今日の二人とまた違った形でお会いできればと思います。

ありがとうございました。

おまけ。

浴びるほど飲んでしまった日本酒のせいで、満腹なはずなのにまたまた暴食をしでかしました。

ミスタードーナツ たしか5個ぐらい。

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吉野家の牛丼。数日後に値上がりするということを思い出したので、つい。

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大丈夫なのか? とも考える思考能力もなく、いっきに食べました。

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牛丼サイコ~~。

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300字小説 第230回
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『告白』

「離婚した原因はいろいろあるし、嫁さんからしたら追い出したと思っているはずや。実際追い出されたのは間違いないから。

でも、本当のところは、自分が仕向けたのかも知れん。話せば長くなるから言わんけど、離婚してもホストの仕事をやりたかったんや。

女好きで最初は下心から始めたんやけど、そのうち女性から感謝されているということがわかってきたんや。旦那から女性扱いされていない主婦から特にな。

皮肉なことに話を聞いていると自分の嫁さんと同じような状況の人ばっかりやった。

仕事として女性と接するようになって初めて、自分の妻の苦悩を理解することが出来るようになったんや。

その時にはもう修復不可能な状況になっていたけどな」
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2日目。

高知競馬場でまたまた大量のお酒とおつまみを摂取してしまったことと大量のお金を競馬場に放出してしまったためにその夜は部屋で大人しくしていました。

で、朝です。

キャベツの千切りとマカロニサラダ、ウインナーとスクランブルエッグにロールパン&チョコクロワッサンになぜかおにぎりQです。

市販のおにぎりが整然と並んでいたので、思わずひとついただきました。

味噌汁とミネストローネスープがあったので、スープを選択。

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朝からまたまたお腹いっぱいになりました。

せっかく高知に来たのに、まったくおいしいものを食べないというのもブログを読んでいただいているかたに申し訳ないと思い、昼食になにかおいしそうなものを探すことにしました。

10時にチェックアウトし、駅のコインロッカーに荷物を預けて、はりまや橋を目指すことに。

高知競馬場に行く際にはりまや橋商店街という場所を通ったのですが、高知駅からすぐのところにあって歩くのが好きな僕には物足りないぐらいだったのですが、なぜか路面電車が魅力的に映ったので利用することにしました。

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よくわかりませんが、たぶん200円均一です。

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車内には、小学生や中学生の作品が所狭しと飾られていました。

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高知駅前から2つ目がはりまや橋駅です。5・6分で着きました。

どこにあるのかわからなかったのですが、橋ということだからとにかく川を目指すことにしました。

方角でいうと駅からまっすぐ南に路面電車が走っていて、駅から少し歩くと川にぶつかります。土手を上がって右手(西側)をみると赤い大きな橋が見えました。

さすがに立派な橋だなと感心しながら近づくと……。

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天神大橋と書かれていました。

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目的のはりまや橋は、やはり降りた駅の近くにあるのかも知れません。

天神大橋のすぐ北側にニワトリがいました。このブログを書いていて思い出したのですが、もしかするとこれは尾長鳥なのかもしれません。

鳥の下には、高知の偉人たちの生誕場所の案内が書かれていました。(誰だったっけ)

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大阪では見たこと無い木があったので、思わず撮影しました(花の赤さがとくに綺麗だったので)。今見ると下に貼ってあるポスターの目が怖いです。

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川からはりまや橋駅に向かう途中にはソープランドや風俗店がたくさんありました。与力町という町名で、武士の時代から歓楽街だったのかも知れません。

山崎パンのトラックがあるあたりがはりまや橋駅です。

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あんぱんまんをよく見かけます。

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ふと横をみるとはりまや橋がありました。

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平日(月曜日)だったせいかも知れませんが、観光客どころか人がいませんでした。

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川沿いを歩いていくと地下広場というものに出くわしました。

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どういう意図で作られたのかはわかりませんが、日曜の朝市やよさこい祭り、あとお約束の高知の偉人などを説明するコーナーがありました。

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観光マップです。高知城も近そうです。

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川と平行して商店街がありました。

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かなり立派な商店街で、観光客の名所になっているのかも知れません。

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商店街を横切ってさらに北に上がっていくと飲み屋街がありました。夜に来てみたかったです。

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さらに北にあがっていくと南国をイメージさせるような街路樹が。

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高知城まで1キロぐらいだったので、行ってみようかなと思ったのですが、その姿が見えたので満足しました。

信号の下にあるのが、お城です。

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公園では、猫がひなたぼっこをしています。

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近づくと逃げることもせず、ただ、顔をそむけられました。

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撮影されているのが判っていたのかもしれません。

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高知といえば、「かつおのたたき」か「サワチ料理」しか知らないのでそれらを出す店を探していたのですが、それ以上に気になるお好み焼き屋さんを発見。

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おにぎり大好き人間の僕にとって夢のようなお持ち帰り商品です。

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と、いっても猫の横でおにぎりをほお張っている風景など誰も見たくないと思いますので、やはりここはオーソドックスに「たたき」を探しました。

立派な構えのお店が近くに3軒もあって、どれにするか迷いました。

こちらは二十四万石さん。

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店の前に顔出しパネルが。

ひとりでおりょうさんになって撮影するのは難しいのであきらめました。

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とさ市場さん。

両方とも一人用のサワチ料理があったのですが、かなりの量だったので少し躊躇しました。値段はどちらも3000円ほどです。

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司さん。

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結局、美味しんぼにやられてしまいました。

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高知にくるまでに一度かつおの塩たたきというものを食べてみたいと思っていたので、ちょうどよかったかも知れません。

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かつおの塩たたきとどろめ(かたくちいわしの稚魚)を注文しました。冷酒&生ビールとともに。

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普段あまりニンニクを食べることがないので、この日はこれでもかっていうぐらいに食べました。

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どろめはポン酢か酢味噌のどちらか選ぶように言われたので、着物の仲居さんにどっちがおいしいか聞いてみました。

ポン酢はあっさりしているし、酢味噌は濃厚です。というマニュアル通りの返事が返ってきました。

味は、ほぼ酢味噌です。

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お酒が進みます。

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サンタクロースをイメージしました。

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完食です。

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朝食が胃の半分ぐらいを占拠していたので、満腹になりました。

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高知駅にもどったのが、12時30分ごろで、岡山行きの特急まで40分ぐらいあります。

駅前では、NHKの龍馬伝に使われていたセットを有料で展示していました。たしか500円だったような。

酔いを醒ますためにアイスクリンを食パンマンの横でいただきました。

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高知はくじらも有名みたいです。

リョーマの休日や歓鯨など、結構だじゃれ好きなのかも知れません。

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今回の南風は自由席にしました。指定席と自由席の料金はいくら違うのでしょう。

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本も読まず、ほとんど寝ている間に岡山に到着。1年ぶりです。

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桃太郎さんは、ミッキーマウスの帽子をかぶっていました。

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夜はイルミネーションが綺麗です。

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岡山事務所の開設です。

昼のたたきが効いていたので、この夜もおとなしく部屋で飲むことにしました。

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枝豆、ピーナッツというおやじのおつまみです。

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300字小説 第229回
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『写真』

零次さんは内ポケットから定期入れのようなものを取り出し、中から写真を一枚出して、僕に渡した。

そこには三人の子供が笑って写っていた。一番上の女の子は中学生だろうか、下の二人は男の子で、上は小学校の高学年、下の子は幼稚園児に見えた。

末っ子の目元が零次さんに似ているような気がした。

「十年前の写真やねん。一番下は今年から高校生になってる。離婚してから誕生日や盆と正月に毎年会ってるから今の写真もあんねんけど、一緒に暮らしてたときに最後に撮ったんがそれやねん。

駄目な父親やったけど父親やと胸を張れてたときに撮ったやつやからなんか特別なものに思えていつも持ってんねん」

初めて零次さんが自分のことを話してくれた。
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いよいよ今年最後の出張となりました。

年明けそうそうに適当に予定を立てたわけですが、取りやめることなく最後まで出来たことに感謝したいと思います。

ただ、今回の四国・中国出張では施術予約が一件も無いということで、出張というよりも単なる旅行と行った感じです。

来年はもう少し計画を練って、出張計画を立てないと。

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いつものように谷町9丁目の風景から。

時計は珍しく正しい日にちを表示しています。

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岡山まで1時間程度しかないので、駅弁&お酒は高知行きの特急に残しておきました。

今回の旅のお供は、「愛しの座敷わらし」という小説です。1年以上も前に購入した本で、文体がどうもしっくりこなかったために、書棚の奥で眠っていました。

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あっというまに岡山です。
一応乗り換え案内でスムーズな流れになるようにするにはどの電車に乗ればいいのかなと調べていたのですが、朝起きたらまったく意識せず、適当に出発したら岡山で1時間待ちとなりました。

ゆっくり駅弁が選べてよかったということで。

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コーヒーショップで時間をつぶそうかと一瞬頭をよぎりましたが、少し肌寒くなってきたということと、すでにお酒の口になっていたので、純米吟醸酒をベンチでいただきました。

ツマミもなしで、コップ酒なので、正真正銘の酒飲みに見られていたことでしょう。

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言い忘れていましたが、前日に新しいデジカメを買いました。

写真の一眼レフは、本業(今はどちらが本業なのか判りませんが……)で使っていたものです。

今回は高知競馬場で、おうまさんの写真を本気で撮ろうと思ったので、荷物になりますが、持って来ました。

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あんぱんまん電車。

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肉きんぴらうどん・そばの広告がたくさん貼ってありました。

駅弁を買ってなければ迷わず注文したところです。

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予想以上の混雑にびっくり!

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小林亜星。
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高知行きの列車は、「南風(なんぷう)」という特急です。

一応指定席にしたのですが、列車の中ほどで自由と指定が分かれます。

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背もたれの上が白いのが自由で、青いのが指定です。

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指定席のカバーは毎日洗濯しますが、自由席のは一週間に一度だそうです。

うそです。

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前に座った男は、リクライニングをこれでもかというぐらい下げていました。

これでもかというぐらい何か仕返しがしたかったのですが、ここで愚痴るしかありません。

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いろいろ迷った結果、一番人気のありそうな「たこめし」にしました。

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たこがこれでもかっていうぐらい柔らかかったです。海老の殻をむかないといけないので、海老臭い指になりました。

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本日、2本目の日本酒です。
日本酒もジュースと同じようにプルトップにしたらいいのになと思います。ストローで飲むパックの日本酒はありますからね。(ちなみにビールも買ってます)

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うどん風味キャラメル。

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うどん味というよりも、すき焼きで肉を3回、白ネギを1回、糸こんにゃくを1回、食べたあとの玉子の汁を固めたような味がします。

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瀬戸内海。

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おおぼけ~~。

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リョーマの休日。

高知ではいたるところにこの旗やポスターがありました。

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岡山から特急で2時間半かけて高知に到着です。

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右から中岡慎太郎、坂本竜馬、前田貴久です。

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7番乗り場から午後1時30分出発の高知競馬場行きのバスに乗ります。(無料)

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客は僕を含めて3人でしたが、途中の停留所でごろごろと人が乗り込んできました。それでも全部で10人ぐらいかな。

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30分かけて高知競馬場に到着。

あまり主張をしていない競馬場ですね。

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入場料は無料でした。いつもは100円いるようです。

ゲートを入るとすぐに子供の為の遊具がありました。

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さっそく新聞を購入。3種類ぐらいありましたが、龍馬と書かれた新聞にしました。馬柱の情報が少しすくないので他の新聞のほうがいいかも知れません。

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結局、この日は午後2時(最初)から午後9時すぎ(最後)まで競馬場にいました。

途中で帰ろうと思ったのですが、普通のバス乗り場がわからなかったために最終レースが終わるまで競馬場にいることになりました。

下の写真は、外れ馬券です。

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高知事務所の開設です。

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おまけ

一眼レフで撮ったベストショットです。

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300字小説 第228回
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『大江橋』

キープしていたスコッチのボトルを開けて乾杯をしたが、三十分も経たずにその店を出た。

ママや支配人の対応を見ていると零次さんはいつもと同じ行動をとっているようだ。次の店もその次の店も同じだった。

最後の店を出ると十一時を過ぎていた。急いで帰れば電車に間に合う時間だったが零次さんとの時間を大切にしたいという気持ちが湧いていたので、前を歩く零次さんについて行くことにした。

十分ほど歩くと川が見えてきた。橋には大江橋と書かれている。左前に見えるのが市役所だと教えてくれた。

零次さんは橋の真ん中辺りで欄干に寄りかかり川を眺めていた。

僕はどうしていいかわからなかったので、横に立って川に映る街灯の明かりを見ていた。
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何か起こった瞬間、僕は雷に打たれた人のように体が硬直します。

硬直は、体が硬くなることではありません。自分の思い通りに動かなくなることです。

縛られた縄を振りほどくように、ピョンピョン跳びはねるのです。跳べば、体が軽くなります。空に向かって体が揺れ動くのは、そのまま鳥になって、どこか遠くへ飛んでいきたい気持ちになるからだと思います。

自分に縛られ、他人に縛られ、僕たちは籠の中の鳥のように、ピーピー鳴いてバタバタと跳びはねるしかありません。

どこか遠くの青い空の下で、僕は思いっきり羽ばたきたいのです。

この本は、自閉症の著者が中学生だったときに書いた本です。

質問があり、それに著者が答えるような形式で、構成されています。

冒頭の文章は、本のタイトルにもなっている「跳びはねるのはなぜですか?」という質問に対して答えられた一部を抜粋したものです。

この本を読み進めていくうちに僕は不思議な感覚になりました。

それは著者が人間ではなく、猫のような気がしたのです。

自閉症の人たちの心の中について、僕は何もわかりません。

それ以上に猫の気持ちもわかりません。

この本の中には全部で58の質問があるのですが、その中に彼自身が悩み、葛藤しながら必死に生きていることがわかる回答がいくつもあります。

それらの多くは、彼自身の問題というよりも人間として人間社会に生きていくためのルールを押し付けられ、それに順応できない自分に対して悩んでいるという構図になっています。

僕は精神病院に入院したことがあるのですが、そこにいる患者の中には口も聞けず、意志を伝達することができない人もいます。

看護師たちはそういった患者に対しては、介護するという気持ちからだと思いますが、まるで赤ちゃんに接するような言葉遣いで応対します。

たぶん老人ホームなどでもそういった光景はあることでしょう。

人間の年齢に換算すれば自分よりも年上になるペットに対しても、外見の可愛さや小ささから赤ちゃん言葉で接する飼い主などもいます。

何が言いたいかというと、支配する側、強い立場にいる側の都合によってこの社会は構成されていて、支配される側、弱い立場の人間はその強者のルールに従わなければいけないと思い込まされているということです。

著者の東田くんは、悩まなくてもいい問題に対して必死で答えを出そうとしています。

「悩まなくていい問題」とは、人間社会に適応するためのルールのようなものです。

生きていく為、本人の安全を維持する為のルールというものは必要なのかもしれませんが、普通の人間からすると逸脱していると思われる言動まで制御する必要はないと思います。

それは彼らの個性だと周りが受け入れればいいはずだからです。

そういった考え方が一般的になれば58の質問は、半分以下になると思います。

猫に対して、人間のように振舞えという人は少ないと思いますが、もしそれを強要したら猫自身はどうなってしまうのでしょう。

たぶん悩む前にその家を飛び出すことでしょう。

鳥のように羽ばたきながら。

300字小説 第227回
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『ブルーベルベット』

学校やバイト先ではみないような人種の男たちと様々な色のドレスをきた女たちが、水槽の中の魚のように感じられた。

案内されたコーナーには青いベルベット地のソファがあった。これまで座ってきた中で一番座り心地のいい椅子だった。

ここには相手の顔を遮る衝立は存在しない。互いの腹を探り合うゲームを楽しむ為に高いチャージ代を支払うのかも知れない。

僕の頭の中にはブルー・ベルベットがずっと流れていた。ボビー・ヴィントンではなく、デビッド・リンチの映画で、イザベラ・ロッセリーニが演じた歌手が歌うブルー・ベルベットだ。

芸能人にもいないような整った顔の女性がふたりとママの合計三人が席に着いた。

零次さんが僕を甥と紹介した。
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