ライフサイクルとは、人間の一生を誕生から成長、衰退へと描く周期のことで、もともとは心理学者のエリク・H・エリクソンが、彼の著書で使ったことで広まったとされています。
エリクソンが人生を8つの段階(乳児期・幼児期・幼児期初期・学童期・青年期・成人期初期・成人期後期・老年期)に分けて、それぞれの時期に解決すべき課題があるとしています。
この人間のライフサイクルをマーケティングに活用したのが、製品ライフサイクルといいます。
製品ライフサイクルというのは、市場に登場して消えていくまでの過程のことで、これは一般的に4段階に分かれます。
導入期→成長期→成熟期→衰退期です。
どんな商品でも例外なく訪れますが、ロングセラーと言われている商品は成熟期が長く続いていると考えてください。
導入期では、商品を認知してもらわないといけないために多額の販売費や大量生産もできないためにコストがかかり、利益を確保することが難しいですが、成長期からコストと利益のバランスが逆転し、成熟期になると安定した利益を確保することが可能となります。
今回の記事で、マーケティングの話をしようと思ったのではなく、男女間においてもこのライフサイクルというものが、存在しているのではないかと閃いたのでテーマにしました。
付き合い始めたときは、お互いに相手に理解されようということでかなりの時間とお金をかけます。
気心が知れてくるとデート代に使っていた金額がだんだんと減ってきます。レストランから食堂に変わったり、映画館からレンタルDVDになったりといった具合にです。
二人の関係が安定してくろとそのうち結婚を考えるのですが、これは衰退期を迎える前に商品の新たな価値を訴求して、再び成長を目指すことと同じだとも言えます。
そこからまた導入期→成長期→成熟期へと変化していくのです。
導入期では、結納や結婚式、新居、家具など多くのコストをかけることとなります。
結婚後にこのライフサイクルが適用されるとすれば、成熟期から衰退期に入る前になんらかの対策を講じなければいけません。
一般的には、倦怠期と呼ばれていますが、その倦怠期を解消するための特効薬のようなものは存在していません。
存在しない理由の一番は、うまくいっている夫婦もあるので、そうでない夫婦は単に努力不足だとか忍耐が足らないと判断されているせいだと思います。
もしこの結婚ライフサイクルというものが、どの夫婦にも共通して存在するものだという前提で考えるようになれば、もっと大胆な対策を講じることが可能となるかも知れません。
結婚後、最初の衰退期を回避するための商品やサービスが開発されていくような気がします。
ある一定期間、または一定の条件をクリアした夫婦であれば、結婚していても互いの浮気に対しては、一切責任を問われないというような法律でも出来ると面白いと思います。
自分の浮気は許せても妻の浮気は許せないという夫にとっては、驚異になるのではないでしょうか。
第二次結婚といったような大きなイベントがあればそれに向けてお互いの視線が同じ方向を向くかもしれません。
夫婦関係がうまくいかない理由の大きな要因は、お互いに自分の意見を認めさせようとすることだと思います。
以前にも結婚を会社に例えて話をしましたが、目的は会社に利益をもたらして社員が豊かになることです。
決して社員同士が言い争って優劣をつけることが目的ではありません。
個人的な利害に捉われることなく、株式会社結婚をどのように発展させるかを考えてみてはいかがでしょうか。
結婚ライフサイクルの存在を認めることからはじめるといろんなアイデアが浮かぶような気がします。
300字小説 第102回
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『陣痛』
信号がやっと青に変わり博史はアクセルを強く踏んだ。
太田につかまる直前に正美が入院している病院から陣痛が始まったという知らせを聞いた。
妻の出産のために早く帰らせて欲しいと一言言えばよかったのかも知れないが、太田に頼みごとをすることがどうしても博史にはできなかった。
プライベートなことに干渉されるのを避けたいというのも関係していたのかも知れない。
太田は初めて会ったときに、博史が前職では賃貸物件の営業だったということに対してあきらかに見下した態度で接してきた。
「賃貸と違って分譲は責任も思いし、勉強することもたくさんあるので、気合を入れて働いてください」
自己紹介のあとに太田が博史に投げかけた言葉だった。
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