昨日の記事で、紹介した中村天風さんについてのエピソードが、詳しく書かれている本を読んでいます。
中村天風◎成功は、この「積極精神」についてくる:怒らない 恐れない 悲しまない 池田光著
です。
天風さんは、若いころ結核にかかったそうで、それを治そうと欧米の有名な人を訪ねまくったそうですが、2年間の旅で、得た結論は、誰も治療方法を知らないということで、意気消沈して日本で余生を過ごそうと帰りの船に乗り込みました。
そこで出会ったインドのヨガの聖者カリアッパ師との出会いが、大きく人生を変えたようです。
カリアッパ師とのやりとりはとても興味が湧くものばかりなのですが、修行の地に来てからかなりの日数が経ってもいっこうに天風さんに病気の治し方を教えようとしなかったので、しびれを切らせてカリアッパ師に問いかけたそうです。
カリアッパ師は、いつでも教える準備は出来ているが、お前の方の準備が整っていないと言いました。
天風さんは、自分も出来ていると言うと、カリアッパ師は、何も言わずに丼に水をいっぱい汲んで来いと指示し、その後に別の丼にお湯を一杯用意させたのです。
そしてお湯を水の入った丼に入れてみろと命令しました。
天風さんは、ばかばかしいと感じながらこぼれますと答えたそうです。
次の瞬間にカリアッパ師は、厳しく天風さんと諭したそうです。
「丼の水がおまえだ。おまえの頭の中には、今までの屁理屈がいっぱい入ったままではないか。いくら私の教えを湯のように注いでも、お前には受け取ることは出来ない」
その時にハッと天風さんは気づいたようで、それを察知して、その晩から教えを乞うことになりました。
最初の丼に入った水を全部流して、新しいお湯をいれることを「アンラーニング(学習棄却)」というそうです。
それまで学習し、積み上げてきたものを簡単に捨て去ることが、出来るかと思ってしまいますが、それを先にやらずに新しい考え方を入れても結局、生ぬるいお湯が溢れていくだけなのかも知れません。
天風さんは、当時では治せないとされいた病気だったので、そこまでの決断が出来たのでしょう。
相談する人の覚悟がどれだけのものなのかを見極める能力もカウンセラーには、必要かも知れませんね。
300字小説 第31回
=========================
『自慰』
サトルが生まれたことがきっかけとなり、今は夫のヒロシとは別室で眠るようになっている。
正美は、Mの施術を受けてから毎晩のように寝床につくと自分で慰めるようになっていた。
もともと自分でオーガズムを感じることは出来ていたのだが、絶頂時に訪れる波のようなものが、施術体験後に一気に変わってしまっていた。
家事やパートの最中でも、急に体が熱くなってきて、いてもたってもいられないような状況を体験することも頻繁にあり、それがあった夜は、押し寄せてくる波がいつも以上に大きくなるようだった。
理解できない体の変化にとまどいながらも、1日の締めくくりを自慰にすることに対しての後ろめたさのようなものは、不思議となかった。
=========================
※gmailから届くようにドメイン解除をお願いします。
←夫婦問題をテーマにしたブログは、こちらからご覧になれます。