昔よくゴキブリ亭主という言葉を聞きました。

用も無いのに台所をうろうろする夫のことを指すそうで、今では台所に限らず家の中をうろうろする夫もそう言われているようです。

家のどこにいようと、夫の自由だと思うので、かなり寂しい表現のような気がします。

今日の記事は、そういった夫の家での立場について語ろうと思っているのでなくて、本当のゴキブリと夫の外での行動についてです。

僕が今住んでいるところの上の階に飲食店があって、そのせいでたまにゴキブリが出現します。そのたびに「ヒッ!」とか、「ワッ!」とか叫んでいます。

たまに洗った食器の上にいるところを見たりするとぎゃ~って言います。

その度に食器を洗いなおすのですが、ごきぶりの姿を見ていないときはなんの疑いもなくそのまま食器を使うのです。もしかすると既にその上でウロウロされていたかも知れないのにも関わらずです。

夫の浮気なんて、結局そんなものなのかも知れません。

たぶんしているのだろうけれど、知らない限り気にならないのです。

夫の浮気が気になってしまって、携帯を盗み見する妻がいます。

浮気の証拠があったら気分が悪くなるでしょうし、無ければ無いで自分の行動に対して嫌悪感を抱くかも知れません。見る人はあまり後者のように感じることはないのでしょうけれど。

携帯を見るという行為は、台所に監視カメラをつけてゴキブリの動きを監視することと同じです。

そんなことに自分の貴重な時間を費やすことほど、もったいない行動はないと思います。

一度、携帯を覗き見している自分の顔をビデオで撮影して観るといいです。

そこに写っている顔は、これまで、あなたが見たこともないようなものだ断言できます。

人間は、性格が顔に表れます。

神経質な人は神経質そうな顔になり、疑り深いひとは疑り深そうな顔になります。

ニコニコしている人のほうが、魅力的だと思うのは、僕だけでは無い筈です。

ゴキブリのせいで自分の人相を変えられるなんてしゃくに障りませんか?

300字小説 第211回
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『アルバイト』

食事を終え、河原町行きのバスに乗り、アルバイト先のイベント企画会社に向かった。

今日のバイトは、やきとり屋の新装オープンのサポートだ。クーポン付のチラシを通行人に配る店員の横で、鳥の着ぐるみを着てはしゃぐことが仕事となる。

着ぐるみのアルバイトは、大学に入学してからすぐに始めた。もうすぐ二年半になる。

暑さと寒さに耐えながら、大きな頭をかぶって動き回るのは想像以上に過酷なため、アルバイトとして続ける人はほとんどいない。

企画会社の社長夫婦は、スタッフ集めにいつも苦労していた。この日は社長が運転して現地まで送ってくれた。

終わるころにまた迎えに来て会社に戻る。アルバイト代は、いつもその時に手渡されている。
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